日馬富士の騒動を受けて、相撲協会の心情を代弁してみた。
我々相撲協会は、今回の一連の騒動に関し誠に遺憾である。
まず初めに申し上げておきたいことは、横綱日馬富士関の一連の行動に関し、非となる点は微塵も認められない事を宣言いたします。
該当日、酒席において横綱日馬富士関が貴ノ岩に対して取った行動を傷害や暴行だと大きく報道されていますが、それは全く見当違いであります。
横綱日馬富士関が貴ノ岩に対して行った行動は、我々相撲協会が標榜する「相撲道」で言うところの「かわいがり」であります。この「かわいがり」は伝統ある「相撲道」において由緒ある作法であり、長い歴史において確立された立派な文化でもあります。
今回の「かわいがり」は、報道されていますように横綱日馬富士関が貴ノ岩を説教中に、貴ノ岩がスマートホンを操作した事によるのは事実でありますが、もちろん事情はそれだけではありません。貴ノ岩の日ごろの行動に対し説教をしていたことでその点はご理解を得られるものと存じます。
ご存知のように、相撲界は横綱を頂点としたピラミッド社会です。これは相撲の優劣や強い弱いだけを基準にしているわけではありません。同時に品位・品格をも序列として表しております。相撲界においては、横綱は品位品格の点でも頂点であり、それは「神」とも同格であります。
この「神」と同格である横綱の前で、貴ノ岩がスマートホンを操作するなどもってのほかであり、決して認められる行動ではありません。この行為一つを持って、貴ノ岩が相撲界から追放されたとしても決して理不尽な事ではありません。
横綱日馬富士関は心身ともにお優しい気性の持ち主です。また、貴ノ岩が同じモンゴル人である同朋意識もあったのでしょう。そこで、決して怒りに任せることなく、貴ノ岩に対し、「かわいがり」を行いました。
この行為は、称賛されることはあっても、決して非難されるものではありません。
横綱日馬富士関の行動は、当該日同席をしていた横綱白鵬関以下の関取衆の行動からも同意を、つまり当然のこととして受け止められていたことがよくわかります。
貴ノ岩がどれほどの流血状態であったとしても、同席をしていた関取衆の誰一人気に掛けるものはいませんでした。当然の事です。これは皆さんが言う暴力行為ではなく由緒ある「相撲道」に則った「かわいがり」であるからです。何度も言いますが決して暴力行為ではありません。
貴ノ岩が病院で、そして親方である貴乃花に「かわいがり」であるとは言えず、階段から落ちたなどと嘘を言ったことは、自らの行動に恥じるところがあったからに他ありません。
期せずして、今回の「かわいがり」が暴力事件・傷害事件として大きく騒がれている事は全く残念な事です。是非、先代が築き上げ、そして我々相撲協会が一丸となって守ろうとしている「相撲界」そして「相撲道」を正しく理解していただきたい。
事実、今回の状況を大騒ぎしているのは、相撲界ではなくその周囲に位置するマスコミや世間一般だけです。
我々相撲協会員、つまり力士も親方衆も誰一人横綱日馬富士関を非難するものはおりません。相撲協会員全員が一連の騒動を非常に残念な気持ちで見ていると同時に、横綱日馬富士関をしっかりと支えています。
我々相撲協会は、まさに一枚岩でぶれることはありません。
余談にはなりますが、我々相撲協会は、横綱日馬富士関に対し貴乃花親方から警察へ被害届を出していたことは九州場所が始まる前から承知していました。
しかし、事情を承知していた我々相撲協会は、横綱日馬富士関に非はあらずと判断し、九州場所への出場を認めました。
はっきりさせておきますが、九州場所３日目以降の横綱日馬富士関の休場は、本人の体調不良が原因であり、今回の一連の騒動とは全く関係ありません。
今回の騒動で、最も残念なことは、貴乃花親方が全く「相撲道」を理解されていなかった事です。平成の大横綱と言われた貴乃花親方が「相撲道」における「かわいがり」を全く理解せず、理解できないどころか世間一般の衆愚のように頭部を怪我をしただのどうだのと、どうでもよい些事をことさら大きく騒ぎ立てた行為は、我々相撲協会一同が標榜する「相撲道」を大きく傷つけ損なった行為として、決して許されるものではありません。
先述させて頂きましたように、我々相撲協会の中から、横綱日馬富士関への避難などは一切ありませんが、若乃花親方の対応に対し、親方衆を始め相撲協会全体から強い非難と怒りが沸き起こっています。
力士・親方衆を始め我々相撲協会一同は、これを機会にコンプライアンスの徹底を図ると共に危機管理を徹底する事で、我々が標榜する「相撲道」を全員一致でそして誠心誠意をもって守り抜き精進する事をここに誓います。
ファンの皆さに置かれましては、多大なるご心配をお掛け致しましたことを心からお詫び申し上げるとともに、今後とも変わらぬご支援・ご声援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
