tsshare’s diary

日々思ったことをあれやこれや・・・・・・・

不思議の国の道路運送法 4  タクシーについて

 


タクシー事業に未来はあるのか?

 

突然ではあるが、以上の設問について現在及び将来について検討してみる。(ここで言う、タクシーとは、道路運送法により規定されているタクシーです。どのような将来であろうとも人が移動するための手段は必要です。)f:id:tsshare:20171012160352j:plain

 

 

全国ハイヤータクシー連合会のホームページによると、そうタクシー台数は約2万4千台で、年間輸送人員は17億8300万人とあります。また、営業収入は1兆7760億円で、事業者数は41万3千人とあります。

1人当たりの営業収入は、約430万円となります。人件費が70%と言われ、必要経費を引くと約300万円となり、タクシー運転手の平均年収298万円とほぼ合致します。

道路運送法に守られている事業ではあるが、個々の運転手にとってみれば決してその恩恵にあずかっているとは言えません。

また、タクシー1台当りの年間売上高は、およそ730万円です。(乱暴ですが)年間360日とすると1日当たりの売り上げは、約2万円です。1日の内にタクシーが実際に客を乗せて走っている時間は3時間もありません。

この現状を打開するには、利用者数が一定のままだとすると配車アプリを利用して1台当りの売り上げを上げると同時に、全車両台数を減少させることが必要ですが、いずれにせよ、決して安気に構えられる事業状況ではありません。

 

しかし、ここで言いたいのはタクシーの売り上げの状況ではありません。

 

道路運送法でタクシー事業を守っているのは、タクシーが陸上交通のインフラであることによります。鉄道や飛行機と同様に、タクシーやバスは重要な交通手段として位置づけられています。

ところが、現況では、タクシーはその役割を放棄しています。700万人と言われる買い物弱者の存在や、毎日のように報道される高齢者の交通事故がその証拠です。この問題に対し真っ先に対応すべきがタクシー事業であるにかかわらず、その責任を果たそうとはしていません。

タクシー事業者は、これらの問題に対応できないのであれば、対応できない旨を宣言すべきです。そうすれば、それを前提として道路運送法の改正も検討されるでしょう。

ライドシェアを始めとする、様々な新しい事業モデルを排除するのであれば、代わりにタクシー事業者がどう対応するのかを、その案を打ち出すべきでしょう。

 

2020年には、自動運転車両が走り出すと言われています。自動運転車両の実現は、タクシーやバス事業者にとっては、まさに好機に違いありません。最も経費率の高い運転手を必要としないからです。自動運転車の投入により、当然事業状況は改善されるでしょう。

あるタクシー事業者は、自動運転車によるお客の移送も認可を受けているタクシー事業者しかできないという意見がありました。本当にそのように考えているのであれば、最悪です。

 

10時に家から駅に行きたいので、スマホを使い自動運転車両を呼び出します。時間どおりに玄関前に停車している車両に乗り込み、駅へと向かいます。もちろん運転手はいません。駅に到着し車から降りると、車両をまた次の利用者のところへ走っていきます。

 

この行為を、人を乗せるというサービスの対価として料金を受け取る以上、それはタクシー行為であると主張するのは全くバカげている。

 

上記行為は、見方を変えれば、移動中は自動運転車両をレンタルしているともとらえることができます。とすれば、タクシー事業ではなくレンタカー事業に該当します。

全く同じ行為でも、ダブルスタンダードが発生します。

自動運転車両による移動は、もはや既存の道路運送法では対応できません。全く新しいモデルとして位置づけることが必要となります。

 

また、あるタクシー事業者は、「自動運転車が実現しても、車両内でのコミュニケーションを主体としたサービスはますます必要とされるだろう」と述べました。

この事業者の念頭にあるのは、付加価値として提供している、おもてなしタクシーや観光タクシーなどで提供してるサービスを指すのであろう。

もちろん、自動運転車両が実現しても、こういったサービスは無くならないであろうし、さらに様々なサービスが現れてきても不思議ではない。

しかし、現在のタクシーと自動運転車両とでは大きく違う点が一つある。それは、これまでは、タクシー内でサービスを提供できるのは運転手以外にはなかったが、自動運転車両となれば、その空間内でのサービスは誰でも提供する事が可能となる。

今のような、観光やおもてなしのようなサービスは、タクシー事業者が提供するよりは、観光業や旅館ホテル事業者が一連の流れの中で提供する方が、質量ともにはるかに上質なものが提供可能となるであろう。

 

 

「タクシー事業に未来はあるのだろうか」という問いに対し、答えは「ノー」でるある。

タクシー事業者が現状のまま、自動運転車両の実現を迎え入れれば、その時にはタクシー事業は衰退し、滅ぶのを待つしかないだろう。

明治末期にタクシーが出現した時、タクシー事業はまさにベンチャー企業であったであろう。しかし、それから100年、現在のタクシーモデルは、自動運転車両の到来とともに今度は新しいモデルに取って代わられるであろう。

 

今のタクシー事業者が取るべきは、道路運送法を盾に新しいモデルを排除するのではなく、ライドシェアリングも含めた新しいモデルを模索し、創出する事で自動運転車両が実現した際の下地を造り上げていくべきである。

 

変わらないタクシーモデルには未来は無い。